カテゴリー別アーカイブ: 棋書 [振り飛車]

渡辺明の居飛車対振り飛車Ⅰ

渡辺明の居飛車対振り飛車〈1〉中飛車・三間飛車・向かい飛車編自分が棋書を買う時の基準として、「初心者向け以外なら買う」というのがあります。つまり選考基準は低く、だいたい新刊は買っているんですが、いつも迷うのはこの「NHK将棋シリーズ」。

内容は良い棋書が多いシリーズではあるものの、初心者向けが多いのもこのシリーズ。そんな中では、この棋書の元となっている将棋講座は、久しぶりに毎週観ていて、内容は中級者向け。数多くの戦型を非常にわかりやすく解説していて面白かったですね。

かといって本になったところで面白いかどうかは微妙なラインと感じたので、買うのをためらっていたんですが、思い切って買ってみたところ、中飛車編のみ非常に面白い内容となっていました。
Ⅰ、Ⅱと2冊構成になっているものの、中飛車編だけ面白い。

どう面白いかというと、以前紹介した名著「消えた戦法の謎」のような作りになっているからです。というわけで、第1部 中飛車編からご紹介。

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新鋭振り飛車実戦集

新鋭振り飛車実戦集 (マイコミ将棋BOOKS)2008年当時のフレッシュな四段陣の自戦記集「新鋭振り飛車実戦集」。本書は、戸辺四段、遠山四段、長岡四段、高崎四段の4名による共著です。それぞれが自戦記を3本ずつ掲載しています。

ポイントはたまに入る「研究」のページ。所々で各自の研究をそこそこ詳しく解説しています。最低でも1ページ、長くて4ページ程、実戦から離れて解説してあります。だいたい序盤の変化についての研究ですね。

戦型的には、やはり最近の将棋らしくゴキゲン中飛車や石田流が多い感じ。というところで、内容に触れていきたいと思います。

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米長の将棋〈1〉居飛車対振飛車(上)

米長の将棋〈1〉居飛車対振飛車(上) (MYCOM将棋文庫DX)将棋からしばらく遠ざかると、メリットとデメリットがあります。

まずメリットは、余計な序盤の知識が抜けること。

これによりシンプルに、そして自分の力で形を作っていきやすいのが良い感じです。あまり遠ざかりすぎると、大事なものまで失うのでご注意を。

デメリットは、やはり勝負勘がなくなってしまうということ。

こればっかりは、実戦でしか身につかないと思うので、しょうがないところでしょうか。仕掛けのタイミングや、攻めか受けかの判断など、激しくにぶりますね。特に中終盤のにぶりっぷりと言ったら、もうどうしようもない感じです。

将棋から遠ざかっていたある日のそんなぼくが、リハビリの第一歩として手にしたのが本書「米長の将棋」です。

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粉砕振り飛車破り

粉砕振り飛車破り―最新の急戦策で振り飛車を撃破する! (将棋必勝シリーズ)以前紹介した深浦先生著の「振り飛車破り超急戦ガイド」と似たような感じ・コンセプトの棋書です。つまり、どんな振り飛車に対しても急戦で挑もうという内容です。

対四間では右銀急戦、対三間では超急戦&急戦、対中飛車は加藤流の急戦、対向かい飛車も加藤流かな?という急戦です。やや古い雰囲気のする戦法が目に付きますが、それだけにむしろ有力な匂いのする戦法揃いです。

まず注目したいのは「対三間での急戦」です。定番の▲5五歩▽同歩▲4五歩の仕掛けの後、定跡では▲4六銀と指しますが、この棋書ではそこで▲6六銀とするのが有力だと書いてあります。

これは他の棋書には載っていない変化であり、たしかに居飛車有力に見える指し方なので、ぜひ知っておきたいところです。参考までに、コーヤンがその▲6六銀に対して▽4二飛として力勝負に持ち込むのを将棋倶楽部24で見かけたことがあります。

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振り飛車破り超急戦ガイド

振り飛車破り超急戦ガイド (パワーアップシリーズ)対三間・四間・中飛車のそれぞれにおける超急戦策のみが載っている定跡書です。超急戦なので全て先手番用の作戦、さらに対三間以外は限定局面でしか使えないんですが、強力な破壊力のある戦法揃いです。

また、全てプロの実戦でも指されている作戦なので安心して使えます。

この棋書の大きな特徴として、最後の第4章が「終盤の戦い方」となってます。ここでは定跡手順が終わった後の勝ち方について書かれています。

定跡書の「これにて良し」からどう勝てばいいのか、そこに言及してるのは素晴らしいですね。

この章を読んで思ったのは、「これにて良し」以降でこんな手を指さなくては勝てないのか・・という驚きでした。これが指せないと勝てないんだったら、じゃあ勝てないじゃん!って思うことがしばしば・・。

しかし終盤の、手が広い局面を詳しく解説するのはとても難しいことだと思うのに、わかりやすく書かれているのは、さすが深浦先生というトコロ。ただ、この棋書に書かれている定跡の全てについては書かれていないのが残念でした。

つまり限定局面の中の限定局面の終盤の解説なんで、滅多に出会わないんですよね。ってまあ、欲を言いすぎでしょうけど。

では、内容のご紹介です。

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振り飛車ワールド’04〈第2巻〉

振り飛車ワールド’04〈第2巻〉徐々に明らかにされていく、我が家のトイレに置いてある棋書シリーズ第3弾「振り飛車ワールド」です。

この「振り飛車ワールド」シリーズは2ヶ月に1巻ずつ刊行され、全部で10巻ほど発売されましたが、現在は休止のような感じになってます。

見た目は普通の棋書なのですが、内容は雑誌のような感じで作られていて、棋士のロングインタビューや指定局面戦、いくつかの講座やエッセーなどから構成されてます。

 

雑誌として読む分にはそこそこ面白いんですが、棋書としてはややインパクトに欠け、雑誌と思うと値段が高いので購入意欲がなかなか湧いてこない、そんな微妙なシリーズでした。

というわけでいつも立ち読みで済ませてたんですけど、この1冊だけ購入を決意しました。決意したポイントは以下の2点です。

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杉本流端歩位取り穴熊

タイトルは端歩位取り穴熊ですが、内容は相穴熊と言っていいでしょう。ズバリ四間飛車穴熊vs居飛車穴熊の定跡書です。

四間飛車を指していると避けられないのが、やはり居飛車穴熊。藤井システムで攻めきるのも、なかなか大変。鈴木システムも、どうしても玉型の差で勝ちきれない。となると最後は、やっぱりこちらも穴熊でっていう思考になりがちです。

でも一般に相穴熊は居飛車有利と言われ、どうも作戦負けの気配を感じます。その理由は、おそらく飛車先の位にあると思われます。飛先の位に対抗できる何かがあれば、振り穴も指す気になるというものです。

そんな何か、それが端の位なわけです。

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