カテゴリー別アーカイブ: 棋書 [向かい飛車]

最強アマ直伝!勝てる将棋、勝てる戦法

最強アマ直伝! 勝てる将棋、勝てる戦法 (マイナビ将棋BOOKS)2手目3二飛戦法を開発したことで有名な、トップアマの今泉さん著の「初手▲5六歩からの先手中飛車の本」です(一部向かい飛車有り)。タイトルからは内容が分かりにくいですね。

アマ棋界のことは全く知らない自分ですら、今泉さんが中飛車一本で指すようになったことを知っていたので、その知名度はアマの中では断トツでしょう。

本書の概要としては、初手▲5六歩からの中飛車に対しての5つの形と、5筋位取りを拒否された場合の向かい飛車の形、計6個の形に関しての解説書になっています。

それぞれでまず今泉さんの実戦の解説。そしてそれに対する修正手順だったり、気になる変化を研究していくという作りになっています。

特に特徴的なのが、プロでは選ばない形だけど実戦的に指されたら難しい形への解説。そして形勢判断のポイントが「勝ちやすい」かどうかということ。例え駒損で微妙に見える局面でも「先手勝ちやすい」などの形勢判断となっているのが面白いところ。

プロの書く棋書では形勢判断で「勝ちやすい」とか「勝ちづらい」という言葉は、ほとんど使われないですよね。アマにとってはその局面が優勢か不利かよりも、勝ちやすいかどうかが全てであるわけで、そういう意味でアマならではのアマのための本であると言えるのではないでしょうか。

それでは各章ごとに見ていきたいと思います。

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ダイレクト向かい飛車 徹底ガイド

ダイレクト向かい飛車徹底ガイド (マイナビ将棋BOOKS)前回のNHK杯戦で、本書の著者である大石六段がこのダイレクト向かい飛車を駆使して準決勝まで進出したのは記憶に新しいところ。

特に羽生三冠を相手に完勝したのはインパクトありましたね。

つまり非常に優秀な戦法であることが証明されたと思いますが、しかしながらこの戦法、使うのにはなかなかハードルが高い戦法でもあります。

なぜならば、序盤の▲6五角(下図)に対する研究が無いと指せない戦法だからです。現在でもまだこの形の優劣が決まっているわけではなさそうで、プロの実戦でもこの形は登場しています。(2014年4月現在)

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ぼくが観ている限りでは先手の勝率が高そうに思いますが、後手もちょくちょく勝っているので、正直よくわからないですね。プロも一戦毎に指し手を細かく変え、現在進行形で進化中と思います。

さて、本書では第2章で約50ページほどこの形を解説しています。さらに、もうひとつ気になる形である▽6二玉としたタイミングでの▲6五角に対しても第3章として解説があるのも本書の見所。

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この形に関して解説してある棋書は他にないと思いますので貴重ですね。それでは各章ごとに見ていきたいと思います。

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渡辺明の居飛車対振り飛車Ⅰ

渡辺明の居飛車対振り飛車〈1〉中飛車・三間飛車・向かい飛車編自分が棋書を買う時の基準として、「初心者向け以外なら買う」というのがあります。つまり選考基準は低く、だいたい新刊は買っているんですが、いつも迷うのはこの「NHK将棋シリーズ」。

内容は良い棋書が多いシリーズではあるものの、初心者向けが多いのもこのシリーズ。そんな中では、この棋書の元となっている将棋講座は、久しぶりに毎週観ていて、内容は中級者向け。数多くの戦型を非常にわかりやすく解説していて面白かったですね。

かといって本になったところで面白いかどうかは微妙なラインと感じたので、買うのをためらっていたんですが、思い切って買ってみたところ、中飛車編のみ非常に面白い内容となっていました。
Ⅰ、Ⅱと2冊構成になっているものの、中飛車編だけ面白い。

どう面白いかというと、以前紹介した名著「消えた戦法の謎」のような作りになっているからです。というわけで、第1部 中飛車編からご紹介。

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粉砕振り飛車破り

粉砕振り飛車破り―最新の急戦策で振り飛車を撃破する! (将棋必勝シリーズ)以前紹介した深浦先生著の「振り飛車破り超急戦ガイド」と似たような感じ・コンセプトの棋書です。つまり、どんな振り飛車に対しても急戦で挑もうという内容です。

対四間では右銀急戦、対三間では超急戦&急戦、対中飛車は加藤流の急戦、対向かい飛車も加藤流かな?という急戦です。やや古い雰囲気のする戦法が目に付きますが、それだけにむしろ有力な匂いのする戦法揃いです。

まず注目したいのは「対三間での急戦」です。定番の▲5五歩▽同歩▲4五歩の仕掛けの後、定跡では▲4六銀と指しますが、この棋書ではそこで▲6六銀とするのが有力だと書いてあります。

これは他の棋書には載っていない変化であり、たしかに居飛車有力に見える指し方なので、ぜひ知っておきたいところです。参考までに、コーヤンがその▲6六銀に対して▽4二飛として力勝負に持ち込むのを将棋倶楽部24で見かけたことがあります。

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