米長の将棋〈1〉居飛車対振飛車(上)

米長の将棋〈1〉居飛車対振飛車(上) (MYCOM将棋文庫DX)将棋からしばらく遠ざかると、メリットとデメリットがあります。

まずメリットは、余計な序盤の知識が抜けること。

これによりシンプルに、そして自分の力で形を作っていきやすいのが良い感じです。あまり遠ざかりすぎると、大事なものまで失うのでご注意を。

デメリットは、やはり勝負勘がなくなってしまうということ。

こればっかりは、実戦でしか身につかないと思うので、しょうがないところでしょうか。仕掛けのタイミングや、攻めか受けかの判断など、激しくにぶりますね。特に中終盤のにぶりっぷりと言ったら、もうどうしようもない感じです。

将棋から遠ざかっていたある日のそんなぼくが、リハビリの第一歩として手にしたのが本書「米長の将棋」です。

 

全6巻のシリーズで、全部1回は読んだのですが、まさに名著。1冊に米長先生の自戦記が30本ずつ収録されており、それも中終盤のみの油っこい部分だけの解説なので、密度がとっても濃いのです。

第1巻にあたる本書は、居飛車対振り飛車限定です。大山名人との将棋が多い印象ですね。勝ち将棋も負け将棋も載っていて、とにかく見所のある将棋しか載ってません。まさに「中終盤の定跡書」という内容です。

特に米長先生の玉頭の戦いっぷりが勉強になります。大山先生ですら恐れていたらしいですしね。

 

ところでこの米長の将棋シリーズですが、羽生世代のトップ棋士たちが愛読していたとか言います。その影響を色濃く感じるのはやはり佐藤棋聖でしょうか。あの独特の構想は、米長将棋を基盤に生まれているように感じます。いつの日か、ぜひ「佐藤の将棋」シリーズを書いて欲しいものです。
※内容は違うけど、佐藤の将棋シリーズが発売されましたね。(本記事は2005年執筆のため)

そんなわけで、現在この本をトイレにセットし、1トイレに1自戦記のペースでリハビリ中です。ほんとに何度読んでも勉強になる本です。ボロボロになるまで読みたいですなあ。