消えた戦法の謎

消えた戦法の謎―あの流行形はどこに!? (MYCOM将棋文庫)
ボクの大好きな棋書のうちの1冊です。内容は、昔プロ間で大流行したのに、今は全く指されなくなった戦法たちが、今どうして指されなくなったのかを追求していくというものです。

この、「昔プロ間で大流行した」というのがポイントで、今ではプロで指されていないけどアマでは指されることもある戦法たちなのです。

これがアマとしてはネックで、「あー、それはたしかアノ理由で指されなくなったんだけど・・思い出せない!」っていうことがしばしばあるのは、ぼくだけではないでしょう。

そんな熱い思いを払拭してくれるのが、この棋書なのです。ぼくの購入したキッカケは、「塚田スペシャル」でした。

 

実戦で塚田スペシャルを指され、昔あんなに大流行したのになんで消えたんだろう、というか消えたのなら理由があるはずだ!と、そんな時にこの本を読んでスッキリしたのでした。そしてこの棋書の構成は下記のようになっています。

①まずは登場シーンとして、その戦法のうまくいったプロの棋譜の紹介から始まり、

②次に、だんだん相手が対応策を練っていくのがわかりやすいように、時系列順にいくつかのプロの棋譜の紹介で歴史を感じさせ、

③そして最後に、これが決定版で以後指されなくなった

という段階を追った作りになってます。

 

この構成のおかげで、その戦法の登場→相手側の各種対応策→決定版の登場というのがはっきり分かり、とても理解しやすいです。

ただ、内容はプロの実戦譜をそのまま使っていることもあり、けっこう高度です。また最低限のその戦法に関する定跡知識がないと、読むのもつらいかもしれません。まぁ、自分の知っている戦法だけを読んでも面白い内容だと思います。

それではこの本で紹介されている戦法をご紹介。

第1章・矢倉編

・スズメ刺し
・▲2九飛戦法・森下システム
・米長流急戦矢倉
・中原流急戦矢倉・▽6二飛戦法
・5手目7七銀

第2章・振り飛車編

・左美濃
・ツノ銀中飛車
・風車
・後手5二飛戦法
・升田式石田流
・坂田流向かい飛車
・玉頭位取り
・角頭歩突き

第3章・角換わり編

・早繰り銀
・角換わり棒銀
・筋違い角

第4章・相掛かり編

・横歩取り
・塚田スペシャル
・中原流相掛かり
・たこ金

以上ですが、もう古い本なので今では復活している戦法もチラホラしていますね。けれど、それでなくてもアマなら充分使えるものばかりですよね。むしろけっこう出会ったりする戦法もあるかと思うので、普通に勉強に使えると思います。

ページ数以上に、中身の詰まった内容で、読み物としても非常に面白いです。暇つぶしと言いつつ、ついつい読んでしまうこと間違いなし!


消えた戦法の謎」への2件のフィードバック

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