近代振り飛車と言えば「先手石田流」と「後手ゴキゲン中飛車」ですが本書はなんと、「先手ノーマル三間飛車」と「後手ノーマル中飛車」の棋書です。
完全に時代に逆行しているようにも見えますが、そうでもないのです。先手ノーマル三間飛車は、これ一本で将棋倶楽部24の高段にいる人も何人かいますし、後手ノーマル中飛車は、プロの矢倉さんが考案した矢倉流中飛車ですので、プロにも通用するレベルの戦法です。
この2つの戦法は、どちらも居飛車穴熊に駆逐されたイメージがあり、実際に指していると8割の相手が居飛車穴熊に組んできます。そして、居飛車穴熊に組むのを防ぐ術がほぼ無いというのも共通しており、基本的には穴熊に組ませて戦うことを想定した棋書となっています。
3章のみ矢倉流中飛車からの相穴熊の解説となっており、特に矢倉流中飛車の解説書はほとんど無いので、そういった意味で貴重な棋書ですね。まずは1章から見ていきたいと思います。