カテゴリー別アーカイブ: 棋書 [読み物系]

菅井ノート 実戦編

菅井ノート 実戦編 (マイナビ将棋BOOKS)先日の将棋電王戦リベンジマッチの激闘を観戦したおかげで、すっかり菅井ファンになってしまったH-Iです、こんばんは!

この菅井ノートシリーズ。今のところ全3巻ですが、3冊とも発売と同時に買いながらも全く読んでいないというだめだめなぼく。

というのも最近、振り飛車は四間飛車穴熊しか指さないから、余計な知識を得る時間的余裕も無い為、おざなりになってしまっていました。

というわけで、そろそろ読まないとなあと思い立ち、このシリーズ唯一の自戦記本である本書を手に取ったわけです。

ちなみに本書に掲載されている戦型は1局目から順に、先手石田流、後手ゴキゲン、後手ゴキゲン、先手石田流、後手ゴキゲン、後手ゴキゲン、先手石田流、後手角交換四間飛車、後手ゴキゲン、先手中飛車という全10局のラインナップ。

いかにも現代振り飛車党といった感じですね。ぼく個人としてはあまり指したことはないジャンルではあるのですが、この自戦記たち、すっごい面白くてハマってしまいました。

なにが面白いって、1局1局に菅井新手と言ってよい新手・新構想が織り込まれた将棋ばかりなんですよね。ただ定跡をなぞるだけではない、新しい道を切り開こうとしているパワーと言うんでしょうか、ものすごいエネルギー量を感じる将棋ばかりでした。

今では普通に定跡となっている手も多いのですが、成功だけではなく失敗した新手もあり、試行錯誤しているのが伝わってきます。

というわけで1局ごとにその新手・新構想を観ていきたいと思います。

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将棋名勝負2006-2012 -プロが選んだ70局-

将棋名勝負2006-2012 -プロが選んだ70局-将棋世界誌の人気コーナー、毎年一回やっているプロが選ぶその年のプレイバック10局を7年分で70局分をまとめた一冊です。このコーナーはとても大好きで、毎年これを読むと一年の総括という感じがしますよね。

有名なタイトル戦の将棋を、ああこんな手あったなあ、とか思い出しながら楽しんだり、またはマニアックなC級順位戦の将棋がランクインしていたりすると、新鮮な気分で読めたりもしますね。

そんなステキなコーナーなのですが、これをただまとめただけで2,689円という値段設定はいかがなものでしょうかね。というわけで買うことはないと思っていたのですが、先日Amazonの電子書籍版の値段を見てみたら1,300円台になっていたので、それなら買おうかなと思って購入しました。

Amazonの電子書籍版はAmazonサイドに値段決定権があるようで、1ヶ月くらい経つと値段が落ちますね。しかし本書は、解説部分を大幅加筆したと書かれているものの、読んだ感じではむしろ将棋世界に掲載時の方が読み応えがあったように感じます。

まあ2度目だし、内容的にはしょうがないのかなとは思いますが、明らかに掲載時に載っていた写真が無かったりと、むしろボリュームダウンしているような気がしてなりません。なんか臨場感が出てないんですよねえ。

あとこういう棋書の今後の課題として、棋譜を並べなくてもその将棋の凄さが伝わるような誌面作りをして欲しいなあと思います。

それはさておき、掲載されている将棋の方はどれも素晴らしい棋譜なのでやっぱり読んでいると盛り上がってきますね。というわけで、、唐突に「プレイバック2006-2012 -オレの選んだベスト10局-」をお送りしたいと思います。

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俺の棒銀と女王の穴熊

俺の棒銀と女王の穴熊〈1〉かなり以前から、Amazonで将棋本を検索する度に気になっていた棋書というか本というか、、、それがこの「俺の棒銀と女王の穴熊」でした。

いやあもう、この表紙だけで読む気が起きないというか、とりあえずマンガだと思ってたんですけど、よく見たらライトノベル?とか書いてあります。

どうやら小説のようです。将棋の小説?と言うだけでさらに読みたくないわけで。でも値段99円。

それだけで気になってたんですが、先日、なんだか妙に気になってさらに良く見ると、4月30日まで99円と書いてあるではないですか!セール中だったのか!

ちくしょー!期間限定なら缶ジュース1本より安いと思って買ってやるぜ!というわけでついに購入!

 

ちなみにこの本はKindle版、つまり電子書籍版しかなさそうです。スマホやタブレットであればKindleの無料アプリを入れれば読むことができます。

というわけで、ぼくはiPadminiでごろんと寝ながら読み始めたのですが、、全く期待していなかったせいか、なんとこれがなかなか面白いんですよね。

ライトノベルというのがどういう区切りになっているのかは知りませんが、文章の感じは赤川次郎にそっくり。基本的に主人公と、その幼なじみの女の子との会話を中心にストーリーは進みます。

とりあえず先に言っておくと、ストーリー自体は普通です。いや、やや普通以下です。というか赤川次郎です。では何が面白いのかというと、将棋の初心者にどうやって将棋を教えていくか、これに関して非常に秀逸な内容なのです。

例えばこんな感じ↓

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歩という駒は、駒台にあったほうが何かと応用範囲が広い。序盤のうちに一歩入手することは、将棋の基本とも言える流れなのだ。

はたしてあなたは、ただの1歩交換に対してこういう説明をできるだろうか?はい、ぼくは出来ません。

そう、つまり初心者に対して将棋の理とでも言うのでしょうか、それを説明することはとても難しいのですが、それを非常に分かりやすく教えてくれます。

それも主人公が徐々に上手くなっていくにつれ、その内容も徐々に高度なものになっていくのですが、それが本当に徐々になので、多分この本を初心者の人が読んでも分かりやすい、つまり一人で将棋を理解していくことが可能ではないかと思います。

これはとても画期的な本だと思いました。では内容をもう少し見ていきたいと思います。

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イメージと読みの将棋観に出てもらいたい棋士は?のアンケート結果

はい、すっかりアンケートを設置したことを忘れておりましたが、、「イメージと読みの将棋観に出てもらいたい棋士は?」というアンケートにご協力を頂いた17名のみなさん、ありがとうございました。

それでは結果発表に行きたいと思います!

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kindle版 将棋世界 2014年04月号

将棋世界 2014年 04月号 [雑誌]ついに2014年04月号から、将棋世界が普通の電子書籍になってしまいました。今までのiPadアプリのように局面図が動かせなくなりましたが、iPhoneでも読むことが可能になったのが唯一のメリット。

また、この電子書籍版が手に入るのは下記5つ。

雑誌オンライン」「マガストア」「Fujisan.co.jp」「Amazon Kindle」「Google Play

ぼくとしては週刊将棋を購入している「雑誌オンライン」や、家電雑誌をたまに購入している「マガストア」との比較に迷いましたが、ここは世界規模である「Amazon Kindle」を選択しました。

ただし、iPhoneやiPadで電子書籍を読むための「Kindleアプリ」には、一つ大きな欠点がありまして、このアプリ内で直接電子書籍を購入することが出来ない、ということ。つまりAmazonのサイトで購入手続きをしてからでないと読めないのです。

でも購入してしまえばすぐ同期してくれるので、そんなには問題ないですが、他の電子書籍アプリでは可能なので、個人的には気になりましたね。

そして最も気になるのが、果たしてiPhoneの4インチという小さい画面(今回はiPhone5を使用)で将棋世界を快適に読むことが出来るのか!?使い勝手は?というところ。よーし、レッツトライ!

 

と、その前にiPhone5の縦横の比率って約16:9なんですが、実は正確に16:9ではないんです。縦横で1136 × 640となってますが、計算すると71:40になります。本当は16:9にするなら横幅は640ではなくて639にする必要があるのですが、ずっと640だったのでそのままにしたのでしょう。

だからHDの動画を全画面で見ると、端っこが1ピクセル分、黒くなってるらしいです。ぼくのiPhoneは黒だから視認するの不可能ですけどね。

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穴熊の戦い方

全戦型対応 穴熊の戦い方 (マイナビ将棋BOOKS)前回紹介した「よくわかる振り飛車穴熊」の続編かな?と一瞬思うタイトルですが、なんと全戦型対応というサブタイトルの通り、振り飛車穴熊から居飛車穴熊相振り穴熊になんと相居飛車の穴熊の全4種類を全4章にわたって解説している、カズサトさん渾身の穴熊本でした。

そして前書きに、5級くらいの人でも分かる内容から四段以上向けの難易度まで、分かりやすくレベルの目安が表記してある、と書かれています。

しかしながら、簡単な内容に始まりはするものの、難易度がかなり高くなっていくので、結果的に全体の難易度高いですね。

 

ただし内容はかなり面白く、まず戦型の概要と歴史の解説から始まり(ここは難易度低いです)、序盤の駒組みの注意点や端歩の関係などの解説もありながら、中盤の好形や仕掛け方などの解説、そしてさらに終盤のZを活かした戦い方の解説に突入。

これがなぜかカズサトさんの実戦でカズサトさん本人が正解手順を逃した難解な終盤戦の解説(かなり難易度高いです)となっており、それぞれがページ数の制限があるわりに内容がぎっしり詰まっていて充実の内容です。

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豊島の将棋 実戦と研究

豊島の将棋 実戦と研究 (マイナビ将棋BOOKS)SUPER自戦記シリーズもあっという間に第5弾!ついに棋界のホープ「序盤中盤終盤隙が無い」でお馴染みの豊島七段いやもうすぐ八段の登場です。

本書は、2年前のB級2組順位戦の全11局(指し直し局含む)の自戦記集です。このシリーズでは定番となっている、自戦記の途中で解説や研究が挟み込まれている作りは今回も引き継いでいます。

最初に「B2の印象は力戦形が多い」と書かれていましたが、この自戦記の棋譜を全て並べてみると、これでもかという力戦形のオンパレードでした。

アマから見ると何気にB2って、今誰がいるのかすらよくわからず、順位戦の棋譜もA級はほぼ全て見る自分ですら、B1ですでに気になる対局しか見ないし、B2以下は昇級が決定する時とかに見るかもくらいというレベル。

なので今回は、こういう面々が今B2なのかあと思いながら見るのが楽しかったですね。よって将棋の内容としては、力戦形を的確に咎める豊島将棋、という感じの内容が多いです。特に陽動振り飛車含みの序盤戦が多いですね。

アマとしては、力戦形に対する指し方や考え方が研究ページとして別に説明されていたりして、かなり嬉しい内容となっています。冷静に将棋として見ると、9勝1敗なので当然差がついてしまった将棋が多くて微妙ですけどね。

そんな豊島七段の力戦形オンパレードB2全11局を見ていきましょう。

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