2手目3二飛戦法を開発したことで有名な、トップアマの今泉さん著の「初手▲5六歩からの先手中飛車の本」です(一部向かい飛車有り)。タイトルからは内容が分かりにくいですね。
アマ棋界のことは全く知らない自分ですら、今泉さんが中飛車一本で指すようになったことを知っていたので、その知名度はアマの中では断トツでしょう。
本書の概要としては、初手▲5六歩からの中飛車に対しての5つの形と、5筋位取りを拒否された場合の向かい飛車の形、計6個の形に関しての解説書になっています。
それぞれでまず今泉さんの実戦の解説。そしてそれに対する修正手順だったり、気になる変化を研究していくという作りになっています。
特に特徴的なのが、プロでは選ばない形だけど実戦的に指されたら難しい形への解説。そして形勢判断のポイントが「勝ちやすい」かどうかということ。例え駒損で微妙に見える局面でも「先手勝ちやすい」などの形勢判断となっているのが面白いところ。
プロの書く棋書では形勢判断で「勝ちやすい」とか「勝ちづらい」という言葉は、ほとんど使われないですよね。アマにとってはその局面が優勢か不利かよりも、勝ちやすいかどうかが全てであるわけで、そういう意味でアマならではのアマのための本であると言えるのではないでしょうか。
それでは各章ごとに見ていきたいと思います。