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自然流会心の一局

自然流会心の一局―最新自戦譜を徹底解説!! (PERFECT SERIES)ちょっと古い本ですが、中原永世十段著の自戦記集です。収録されている自戦記は全8本と少ないのですが、その分充実した解説。自然流と称される中原さん独特の将棋を堪能できます。

特に中原さんが独自で開発した戦型が中心となっていて、他ではなかなか見ることのできない自戦記揃いです。

具体的な内容は下記になります。

1:対四間飛車での独特な6筋位取りを2本。
(実際は6筋の位取りに対して、四間飛車側が反発する将棋)

2:中原流相掛かりを2本。
(相掛かりで3筋の歩を突き捨ててから銀を繰り出す、一時流行した形)

3:横歩取り▽8四飛戦法(中原囲い)を1本。
(いまだに流行し続ける横歩取り後手番の中心的存在となる囲い。凄いですね。)

そして、矢倉・ひねり飛車・横歩取りを各1本ずつです。では内容を見ていきたいと思います。

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最強の駒落ち

最強の駒落ち (講談社現代新書)以前、「戦国将棋」という将棋倶楽部24で行われているイベントに参加していたことがあります。詳しい説明は省きますが、このイベントでは、駒落ちの将棋をけっこう指す必要があるんですよね。

そういうわけで、3000円もするゴツい駒落ちの棋書を買ったりしました。「決定版 駒落ち定跡」っていう本なんですが、これがまさに決定版という作りで、ページ数は500近くあり、あらゆる手合いのあらゆる定跡を網羅した本でした。

しかしそれを読みながら、ある疑問がぼくの心に沸きあがってきました。

駒落ちは勉強のために指すのに、なんで定跡をマスターして勝ちにいかねばならんのだ、と。しかし、下手としては定跡を勉強して善戦したいわけで、上手としては下手が勉強してきた定跡にきちんと対応してあげたいわけで、なんともモヤモヤするわけなのです。

結論としては、「最低限の定跡知識を持って指す」のがベストでしょうってことでこの棋書、「最強の駒落ち」の登場!なわけです。

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王様殺人事件

王様殺人事件―極上の詰将棋ミステリー (MYCOM将棋文庫SP)詰め将棋作家伊藤果と推理小説作家吉村達也の夢のコラボレーション、という前フリで、ぼくはしばらくずっとこの本は「将棋が関係してくる推理小説」だと思ってました。

だから本屋で見かけても手に取ることは無かったんですが、ある日これが「伊藤氏の華麗な詰め将棋を推理小説作家が解くというか解説する本」であることに気づき、それは面白そうだ!と思って買ったのでした。

で、ワクワクして読み始めたんですが・・・この本の読み方が全くわからんのですよね。詰め将棋はどれも華麗なものばかりで素晴らしいんですが、難しすぎてほとんど解けないんです。

まぁ、解くというよりも作意を解説によって楽しむというような構成になってるんで、とりあえず気にせず読み進めることにしました。

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すぐに使える将棋の手筋 (上)

すぐに使える将棋の手筋〈上〉 (週将ブックス)前に紹介した「手筋の達人2」の次に読むのに丁度良さそうな手筋本です。

歩・香・桂・銀についての手筋の棋書で、一問一答形式ではなく、実戦から手筋部分を切り取った読み物的な構成になっています。

使われている実戦はプロの将棋や、古くは天野宗歩の将棋などもあり、その他はおそらくトップアマの将棋を中心に抜粋している感じです。その為、内容はやや高度ですが、実戦的な手筋を多く学べる作りになってます。

青野先生著の「勝てる将棋格言36」の、難易度を下げたバージョンと言った感じでしょうか。問題を解くという感じではなく、手筋の読み物といった作りなのが良かったです。

取り上げられている手筋は、華麗という感じのものより、いかにも実戦的なコッテリ系手筋が多いと感じました。そのため、実戦で活用できそうなものが多そうです。

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入玉大作戦

入玉大作戦―逃げるが勝ち! (MYCOM将棋文庫)優勢なのに寄せがない。

四面楚歌で勝ち目がない。

そんなときには入玉だ!

というフレーズのこの棋書ですが、本気なのかギャグなのか、ギリギリかつ語呂が良いのがいいですね。大好きです。

この棋書では、プロの実戦における入玉の将棋を、1見開きに1つずつ紹介しています。よって、非常にスッキリとしていて読みやすく、読み物としてもそれなりに読めます。

が、解説が少ないと感じることも多く、「こう指されたらどうするんだろう」と、モヤモヤしてしょうがないです。といっても入玉将棋を一人で検討するのは、けっこう難しくてよくわからないので、まぁこんなもんか、と形で納得しながら読むしかないですね。

良くも悪くも「入玉の将棋をたくさん観ることができる」という棋書です。そういう意味では、入玉初心者向きの内容なのかもしれません。

それでは、章ごとに内容をサブタイトルで見ていきましょう。

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筋違い角と相振り飛車

筋違い角と相振り飛車―ライバルに勝つマル秘作戦 (森内優駿流棋本ブックス)タイトルそのまま「筋違い角」と「相振り飛車」の内容です。ただし、相振り飛車飛車に関しては超独特な内容です。

まあ数少ない筋違い角の棋書なので、筋違い角を指すのなら持っていて損はないかなといった感じです。

それでは内容を見ていきたいと思います。

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振り飛車破り超急戦ガイド

振り飛車破り超急戦ガイド (パワーアップシリーズ)対三間・四間・中飛車のそれぞれにおける超急戦策のみが載っている定跡書です。超急戦なので全て先手番用の作戦、さらに対三間以外は限定局面でしか使えないんですが、強力な破壊力のある戦法揃いです。

また、全てプロの実戦でも指されている作戦なので安心して使えます。

この棋書の大きな特徴として、最後の第4章が「終盤の戦い方」となってます。ここでは定跡手順が終わった後の勝ち方について書かれています。

定跡書の「これにて良し」からどう勝てばいいのか、そこに言及してるのは素晴らしいですね。

この章を読んで思ったのは、「これにて良し」以降でこんな手を指さなくては勝てないのか・・という驚きでした。これが指せないと勝てないんだったら、じゃあ勝てないじゃん!って思うことがしばしば・・。

しかし終盤の、手が広い局面を詳しく解説するのはとても難しいことだと思うのに、わかりやすく書かれているのは、さすが深浦先生というトコロ。ただ、この棋書に書かれている定跡の全てについては書かれていないのが残念でした。

つまり限定局面の中の限定局面の終盤の解説なんで、滅多に出会わないんですよね。ってまあ、欲を言いすぎでしょうけど。

では、内容のご紹介です。

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