忙しくて将棋から遠ざかっていた頃に、ぼくを将棋に引き戻してくれた本がありました。それが本書、将棋「次の一手」読本です。
タイトルだけだと、てっきり次の一手の本かと思いましたが、内容はトップ棋士のインタビューを中心とした、雑誌風読み物でした。
将棋の読み物大好き人間として、ちょっと立ち読みしてすぐに購入を決意しましたが、値段を見てビックリ。
将棋雑誌風としては破格の1155円(税込)ですよ!たかっ!と言いつつ、まぁ買ったわけなんですけどね。
以前紹介した深浦先生著の「振り飛車破り超急戦ガイド」と似たような感じ・コンセプトの棋書です。つまり、どんな振り飛車に対しても急戦で挑もうという内容です。
対四間では右銀急戦、対三間では超急戦&急戦、対中飛車は加藤流の急戦、対向かい飛車も加藤流かな?という急戦です。やや古い雰囲気のする戦法が目に付きますが、それだけにむしろ有力な匂いのする戦法揃いです。
まず注目したいのは「対三間での急戦」です。定番の▲5五歩▽同歩▲4五歩の仕掛けの後、定跡では▲4六銀と指しますが、この棋書ではそこで▲6六銀とするのが有力だと書いてあります。
これは他の棋書には載っていない変化であり、たしかに居飛車有力に見える指し方なので、ぜひ知っておきたいところです。参考までに、コーヤンがその▲6六銀に対して▽4二飛として力勝負に持ち込むのを将棋倶楽部24で見かけたことがあります。
の格言にそった将棋を、プロの実戦譜を使って紹介、解説している1冊です。1つの格言につき、実戦譜3つ(稀に2つ)で、合計で格言36個・実戦譜100個くらいの内容となってます。
将棋の格言とは、「金底の歩岩よりも堅し」とか「玉の早逃げ八手の得あり」だとかいった感じのものですね。格言を知ってるだけでも、手に迷った時なんかに役立ったりします。
この本で紹介している実戦譜は、格言にそってはいるものの、プロの将棋のハイライトを切り取ったような内容になっているので、ただ読むだけでも面白いです。
1つ1つが短くスッキリしているので、ちょっと気楽に読むのにも最適です。だからつまり、この本は我が家ではトイレにセットしてあり、日々快適なトイレ生活を送っております。
プロの将棋の棋譜並べをしたいけれども、なかなか時間も取れないし面倒くさいし、全てが感動できる棋譜ってわけでもないわけです。でもこの棋書なら、確実に感動手筋をピンポイントで読むことができるのが良い点です。ただ、プロの実戦譜のみなのでそれなりに難易度が高い内容ではありますが。
今の将棋界に決定的に足りないもの、それは死と血であると言えます。死を覚悟して血を流しながら対局するのが、将棋の真の姿なのです。
そんな将棋の基本を思い出させてくれるのがこの漫画「月下の棋士」です。今となっては古い漫画となってしまいましたが、絵は今見ても古さを感じませんし、将棋を知らなくても面白い内容です。
文庫版で再版されて全20巻。非常に長いストーリーで、中盤がマンネリ気味なのが欠点ですが、序盤の奨励会入りからプロ入りするあたりと、終盤のA級での戦いは濃ゆさ満点です。
主人公は坂田流向かい飛車で有名な坂田三吉がモデルの人の孫という設定で、この漫画がドラマ化された時はV6の森田君が演じてました。
一見、主人公が濃ゆいのかと思いきや、そうではありません。むしろ主人公は薄いキャラで、彼を取り巻く人物達と対戦相手達が、濃ゆさ満点で迫り来るのです。
この、「主人公が一見ややウザくて読む気しない」と思われがちなのが残念なトコロで、実際は主人公なんてどうでもいい漫画です。