かなり以前から、Amazonで将棋本を検索する度に気になっていた棋書というか本というか、、、それがこの「俺の棒銀と女王の穴熊」でした。
いやあもう、この表紙だけで読む気が起きないというか、とりあえずマンガだと思ってたんですけど、よく見たらライトノベル?とか書いてあります。
どうやら小説のようです。将棋の小説?と言うだけでさらに読みたくないわけで。でも値段99円。
それだけで気になってたんですが、先日、なんだか妙に気になってさらに良く見ると、4月30日まで99円と書いてあるではないですか!セール中だったのか!
ちくしょー!期間限定なら缶ジュース1本より安いと思って買ってやるぜ!というわけでついに購入!
ちなみにこの本はKindle版、つまり電子書籍版しかなさそうです。スマホやタブレットであればKindleの無料アプリを入れれば読むことができます。
というわけで、ぼくはiPadminiでごろんと寝ながら読み始めたのですが、、全く期待していなかったせいか、なんとこれがなかなか面白いんですよね。
ライトノベルというのがどういう区切りになっているのかは知りませんが、文章の感じは赤川次郎にそっくり。基本的に主人公と、その幼なじみの女の子との会話を中心にストーリーは進みます。
とりあえず先に言っておくと、ストーリー自体は普通です。いや、やや普通以下です。というか赤川次郎です。では何が面白いのかというと、将棋の初心者にどうやって将棋を教えていくか、これに関して非常に秀逸な内容なのです。
例えばこんな感じ↓
歩という駒は、駒台にあったほうが何かと応用範囲が広い。序盤のうちに一歩入手することは、将棋の基本とも言える流れなのだ。
はたしてあなたは、ただの1歩交換に対してこういう説明をできるだろうか?はい、ぼくは出来ません。
そう、つまり初心者に対して将棋の理とでも言うのでしょうか、それを説明することはとても難しいのですが、それを非常に分かりやすく教えてくれます。
それも主人公が徐々に上手くなっていくにつれ、その内容も徐々に高度なものになっていくのですが、それが本当に徐々になので、多分この本を初心者の人が読んでも分かりやすい、つまり一人で将棋を理解していくことが可能ではないかと思います。
これはとても画期的な本だと思いました。では内容をもう少し見ていきたいと思います。
主人公は高校に入学したばかりの一年生。幼なじみの女の子と部活を探しているうちに、将棋部へと入部します。
そこには学生女王である美人な2年生の先輩がいて、その人に二人は将棋を教わっていきます。そして盤に駒をすらすらと置き、詰将棋を出題↓
ぼくもこれ、昔一回だけ初心者相手に盤駒を使って出題したことがあります。でもあまり興味を持ってもらえなかったような思い出があるなあ、、
でもまあ、初心者に対してこのように詰将棋を出題してあげるのも、大切なことだと思います。それをストーリーの流れで見せてくれているのが素晴らしいところ。
また、ストーリーとこういう指導の場面などの割合がほどよい感じです。無理にガンガン教える感じだと読んでてもちょっとひいてしまうと思いますが、ストーリーがそれなりにあり、たまに解説、といった感じ。非常に読みやすいです。
そして主人公と幼なじみの二人が少し強くなってきたところで、初の本気対決が下図。四間飛車対棒銀の定跡形になっているだけでも、頑張って勉強したんだなあと、なんだか自分が親の気分。
そして主人公が閃いた次の一手、それが▲1五銀!
たしかひふみんが指した新手じゃなかったかと思いますが、徐々に強くなっていく二人を、影ながら応援している親というか師匠というか、そんな気分になってしまうんですよね。
また、囲いの紹介とかも入っていたり↓
とにかく初心者にとりあえず教えたいことがしっかり詰まっている一冊でした。
そしてもう4巻まで発売されてまして、前述の通り4月30日(2014年)まで一冊99円で絶賛発売中!ちなみにぼくは今、2巻を読み始めたところです。
将棋初心者と、将棋を教えたいと思っている人、両方におすすめした一冊です。
それでは最期に、だいぶ成長してきた主人公が1巻ラストで放つ渾身の一手をどうぞ!
▲7六飛!うん、なかなか凄い手ですね。
以下は▽同玉に▲5三角成▽同金▲8四銀まで必死。
弟子がここまで強くなってくれたら、もう涙ものですね。
推奨棋力:完全な将棋初心者、または将棋を教えたい人