タイトルは端歩位取り穴熊ですが、内容は相穴熊と言っていいでしょう。ズバリ四間飛車穴熊vs居飛車穴熊の定跡書です。
四間飛車を指していると避けられないのが、やはり居飛車穴熊。藤井システムで攻めきるのも、なかなか大変。鈴木システムも、どうしても玉型の差で勝ちきれない。となると最後は、やっぱりこちらも穴熊でっていう思考になりがちです。
でも一般に相穴熊は居飛車有利と言われ、どうも作戦負けの気配を感じます。その理由は、おそらく飛車先の位にあると思われます。飛先の位に対抗できる何かがあれば、振り穴も指す気になるというものです。
そんな何か、それが端の位なわけです。
と言っても端の位は終盤に活きてくるわけで、大事なのはそれまでの中盤戦です。中盤でのリードの奪い方、それが相穴熊だと独特で、知識がないとどうにも難しいトコロです。
この本では、そんな相穴熊の独特な中盤をわかりやすく解説してくれています。それでは内容の方を少し詳しく。1章では、簡単に振り穴の考え方を、そして2章が解説編です。
居飛車穴熊のバリエーション別になってます。通常の3二金型穴熊・4三金3一金型穴熊・最近流行の松尾流穴熊・4枚穴熊を目指す4四銀型さらに変則型を含めたその他、と言った感じにほぼ全ての形を網羅してます。
場合によっては最初は美濃囲いから、機を見て穴熊へと変化する指し方も載っており、美濃派の人でも一つの選択肢として使えること間違いなしでしょう。
そして3章は実戦編となっており、5局の自戦解説付きです。四間穴熊を武器にするのなら、必須という感じの1冊です。相穴熊における、振り飛車側の感覚がよくわかる良書でした。
相穴熊では、四間穴熊よりも三間穴熊の方が優れているとか言うので、個人的に三間穴熊に応用できないか検討中です。
以上が、2005年6月のボクの感想文でした。
あれから8年、、ここからが2013年12月の感想です。
そう、今の自分はまさかの四間飛車穴熊党!
当時は四間飛車穴熊の定跡をほとんど知らないで読んでいたので、上記のようなぼんやりとした感想ですが、今ならはっきりと内容が把握できます。
まず、そもそも端歩位取り穴熊とはなんだ、というのを考えてみます。
端の位を取ること自体は、終盤に有利になるのは明白です。気になるのは、序盤で早めに端を突き越すことがどうなのか、です。通常の定跡型に進んだ場合、影響があるかどうかを考えます。
とりあえず後手番でも使えているので、先手番で1手までは問題無し。問題は先手番で2手使ってどうか、、
自分は逆の端歩を突くことが多いのですが、この1手が活きたことはほとんど無いので、この代用にすれば問題なさそう。しかし他に省ける手も無さそうと思うので、現状では先手番専用ならば、という感じですね。
急戦への対応も気になりますが、先手番で▲1六歩だけで様子見すれば良いでしょう。また、序盤のメリットとして、早めに端の位を取れば、相手の戦法を穴熊に限定しやすい気がします。まあこればっかりは何度か指してみないとですが。
四間飛車穴熊を指していていつも思うのが、振り飛車の方が居飛車よりも穴熊を明示するのが早い、という点。
相手の出方を見てから作戦を決めたい派の自分としては、あまり好きではなかったので、端に2手かけ、相手に先に穴熊にいってもらうのは好みですね。
さて、棋書の内容に戻りますが、▽4四歩型の穴熊に対しての解説がほとんどですが、先手は▲4六歩から▲4八飛という形では無く、通常の3枚穴熊に組んで戦っていますね。当時でも▲4八飛とまわる形は定跡としてあったはずなのでここは疑問ですね。
なので、▲4八飛型の序中盤は今後自分の研究用ブログ「四間飛車穴熊 MATRIX 」にて解明していこうと思います。
ただし本書、終盤で端攻めがあるのはものすごく大きいですね!
いつもいつも、地味にと金作ったり、角をどこに設置しようかとか、大駒はいつ切ろうだとか、とかく地味になりがちな終盤ですが、端攻め一閃!というのは相当な魅力です。
先手番の切り札になってくれそうな予感ですね。