忙しくて将棋から遠ざかっていた頃に、ぼくを将棋に引き戻してくれた本がありました。それが本書、将棋「次の一手」読本です。
タイトルだけだと、てっきり次の一手の本かと思いましたが、内容はトップ棋士のインタビューを中心とした、雑誌風読み物でした。
将棋の読み物大好き人間として、ちょっと立ち読みしてすぐに購入を決意しましたが、値段を見てビックリ。
将棋雑誌風としては破格の1155円(税込)ですよ!たかっ!と言いつつ、まぁ買ったわけなんですけどね。
今の将棋界に決定的に足りないもの、それは死と血であると言えます。死を覚悟して血を流しながら対局するのが、将棋の真の姿なのです。
そんな将棋の基本を思い出させてくれるのがこの漫画「月下の棋士」です。今となっては古い漫画となってしまいましたが、絵は今見ても古さを感じませんし、将棋を知らなくても面白い内容です。
文庫版で再版されて全20巻。非常に長いストーリーで、中盤がマンネリ気味なのが欠点ですが、序盤の奨励会入りからプロ入りするあたりと、終盤のA級での戦いは濃ゆさ満点です。
主人公は坂田流向かい飛車で有名な坂田三吉がモデルの人の孫という設定で、この漫画がドラマ化された時はV6の森田君が演じてました。
一見、主人公が濃ゆいのかと思いきや、そうではありません。むしろ主人公は薄いキャラで、彼を取り巻く人物達と対戦相手達が、濃ゆさ満点で迫り来るのです。
この、「主人公が一見ややウザくて読む気しない」と思われがちなのが残念なトコロで、実際は主人公なんてどうでもいい漫画です。
ちょっと古い本ですが、中原永世十段著の自戦記集です。収録されている自戦記は全8本と少ないのですが、その分充実した解説。自然流と称される中原さん独特の将棋を堪能できます。
特に中原さんが独自で開発した戦型が中心となっていて、他ではなかなか見ることのできない自戦記揃いです。
具体的な内容は下記になります。
1:対四間飛車での独特な6筋位取りを2本。
(実際は6筋の位取りに対して、四間飛車側が反発する将棋)
2:中原流相掛かりを2本。
(相掛かりで3筋の歩を突き捨ててから銀を繰り出す、一時流行した形)
3:横歩取り▽8四飛戦法(中原囲い)を1本。
(いまだに流行し続ける横歩取り後手番の中心的存在となる囲い。凄いですね。)
そして、矢倉・ひねり飛車・横歩取りを各1本ずつです。では内容を見ていきたいと思います。