以前紹介した深浦先生著の「振り飛車破り超急戦ガイド」と似たような感じ・コンセプトの棋書です。つまり、どんな振り飛車に対しても急戦で挑もうという内容です。
対四間では右銀急戦、対三間では超急戦＆急戦、対中飛車は加藤流の急戦、対向かい飛車も加藤流かな？という急戦です。やや古い雰囲気のする戦法が目に付きますが、それだけにむしろ有力な匂いのする戦法揃いです。
まず注目したいのは「対三間での急戦」です。定番の▲５五歩▽同歩▲４五歩の仕掛けの後、定跡では▲４六銀と指しますが、この棋書ではそこで▲６六銀とするのが有力だと書いてあります。
これは他の棋書には載っていない変化であり、たしかに居飛車有力に見える指し方なので、ぜひ知っておきたいところです。参考までに、コーヤンがその▲６六銀に対して▽４二飛として力勝負に持ち込むのを将棋倶楽部２４で見かけたことがあります。
次に注目したいのは、「対中飛車での加藤流急戦」です。対ゴキゲン中飛車ではなく、普通の中飛車に対しての指し方ですが、けっこう応用の利く攻め筋なので知っているとなにかと重宝します。３八飛から３筋で１歩持ち、３六飛・３七桂型にして戦う形で、ぼくはけっこう対振り飛車で持久戦になると、早指しの時はとりあえずこの形にして仕掛けを狙ってます。
対中飛車でのこの仕掛けそのものは、大山名人の３一金かなにかで消えたような記憶がありますが、基本的にはそれなりに使える気がします。まぁ、ひとつの攻め筋として見ておいて損は無いでしょう。
そして最後の注目ポイントは、「対向かい飛車の急戦」です。この実戦を、今まで一度も見たことが無いので（そもそも向かい飛車が少ないですが）知名度はかなり低いと思います。ただ、振り飛車側が▽５二金左とする向かい飛車に対してはかなり有力な指し方だと思います。
以前、個人的にけっこう研究したんですが、ほぼ間違いなく居飛車優勢という結論を出しました。ただ、優勢ではあるものの、勝つまでがけっこう大変だとは思いましたけど。急戦模様の駒組みを見せれば▽５二金左としてくることが多いと思うので、オススメできる一品です。
ひとつひとつの戦型についての解説は、それほど詳しくは載っていないのですが、有力な攻め筋ばかりなので今でもたまに読む一冊です。しっかり研究すれば、メイン戦法としても使えそうな指し方ばかりですね。
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