今回は第2章の解説になります。この章の特徴として、まず最初に昔の四間飛車穴熊の形である「単純穴熊」対銀冠(下図)を見ていきます。
そして何故この単純穴熊が滅んでしまったのかを勉強することにより、いわゆるそこからの修正点を知ることで、より深く現代の四間飛車穴熊を理解していこう、という作りになっています。
過去のことはどうでもいいと思いがちですが、単純穴熊が何故通用しないかは、けっこう大きい問題でして、これを知らないとそもそもこの戦型に対する考え方が分からないと思います。
はい、こちらが単純穴熊の図でございます。というわけで、内容を見ていきましょう。
・第1型 単純穴熊はなぜ滅んだか
まずは居飛車が▽4四歩から平凡に囲ってきた場合に、▲5六銀型で対抗してみます。
はい、こんな感じになるかと思います。そしてこの形、、振り飛車から指す手が無いんですよね。指す手というか、仕掛ける順が無いのです。つまり作戦負け。
次は▲6六銀型を目指してみます。
はい、こんな感じに果敢に攻撃開始の図です。なんだかいい感じですよね。そうなんです。この仕掛けさえ決まりさえすれば振り飛車優勢なのです。
では居飛車の指し方がまずかったことになります。それはどこかというと、▽4四歩を突いてしまったこと。これが大事なポイントです。では▽4四歩を保留するとどうなるのか。
はい、こんな感じに居飛車は穴熊へ、振り飛車はやはり動けず。▽4四歩を保留されると▲6五歩と突けないので、つまり▲6六銀型が作れないわけです。
いやいや、まだ向かい飛車への転回があるじゃないですか。
▲5六銀だけ入れてから▲8八飛と向かい飛車にしてみるとどうなるか。
以下▽5五歩▲4七銀▽7四歩▲8六歩に▽7五歩!
以下▲7五同歩▽7二飛▲8五歩▽7五飛、、この7筋からの反撃が8筋攻めより厳しく居飛車優勢になります。
というわけで、▽4四歩を保留されるだけで単純穴熊は作戦負けになってしまうのでした。
・第2型 現代穴熊へ
つまり、四間飛車穴熊としてはまず攻撃の形を準備することが最優先。その為の布陣がこちら。
これが現代穴熊の布陣です。上部に手厚く構え、▲3八飛〜▲3五歩の仕掛けを見せることで銀冠から穴熊へと移行するのを牽制しています。
また、ここで▽2五歩には、、
この▲3七桂が機敏な一手。次に▲4五桂の両取りがあるので、2五の歩が助かりません。穴熊も手薄にはなりますが、これが決まれば一気に優勢になるので覚えておきましょう。
ということで、ここからは現代穴熊対銀冠の攻防を見ていきます。
第3型 ▽4四歩からの攻防
まずは居飛車が▽4四歩と指してくる場合を考えます。▽4四歩と居飛車が角道を閉じた瞬間は▲6五歩〜▲6六銀の攻撃を作るチャンス。すかさず▲6五歩とするのをお忘れ無く。
これに対しては、①▽4三金右と待機、②▽4五歩の開戦、の2つのパターンがあります。順番に見ていきます。
①▽4三金右と待機
単純穴熊の場合と同じく、以下▲6五歩から▲6六銀の攻撃形を作って振り飛車優勢。ただし具体的に良くするまでは意外と長いです。詳しくは 四間飛車穴熊 MATRIX | VS銀冠 定跡研究その2 へどうぞ。
②▽4五歩の開戦
以下は▲6六銀▽4六歩▲同金に▽7四歩と進みます。
この▽7四歩も居飛車としては大事な一手で、単に▽4三金右などとしてまうと▲5六歩〜▲5五歩の仕掛けに対応できません。
ここからは振り飛車もじっと▲4七金〜▲3七金と形を整えてから▲5六歩とするのがポイント。
▲4六金型だと、常に▽5七に角や銀を打ち込まれる隙があって戦えません。以下もなかなか難しいですが、基本的には振り飛車優勢。詳しくは 四間飛車穴熊 MATRIX | VS銀冠 定跡研究その3 へどうぞ。
・第4型 最新のテーマ図へ
以上により居飛車は▽4四歩を突くことが出来ないので、ここでは▽7四歩(▽1五歩もある)が最新のテーマ図になります。
そしてまずは、▲3八飛と回る形を見ていきます。
詳しい解説は省きますが、以下振り飛車は3筋の1歩交換をしても▽7二飛からの動きに対応しきれず振り飛車不満。
・第5型 柔軟な▲5六歩
▲3八飛としても▲5六歩と突くことになっていたので、先に突いておこうという高等戦術。しかしまたしても振り飛車満足できず、、!
・第6型 最有力の▲4五歩
なんだ最有力があるなら最初から言ってくれればいいのに〜。という一手がこの▲4五歩!
以下は▽4四歩▲同歩▽同銀▲6五歩のように進んでいくのですが、なかなか難解です。ぜひ本書を手にとって研究していただきたいところですね。
一応はこちら 四間飛車穴熊 MATRIX | VS銀冠 定跡研究その4 で研究してはありますが、まだ研究が足りないような気がしています。いずれこの形をもっと研究しないと。
第7型 一手の違い
ここでは後手番での指し方を研究しています。今までの形を順番に見ていき、先手番の時と違う指し方が要求される場合のみ詳しく解説というスタイル。
というより、先後の差が出る形は下図の場合のみ。
一手の違いは、この後▲6七金右の一手が入ること。これにより銀冠が完成してしまい、相当に手強くなるというわけです。
ここからの変化は難解すぎるので、あとは本書で。
以上、初めて一冊を2回に分けて書いてみました。しかし何度読んでも実戦で間違えるんですよねえ、、なかなか難しいです。
推奨棋力:5級以上