月下の棋士 (2)

月下の棋士 (2) (小学館文庫)将棋漫画の金字塔「月下の棋士」をムサ苦しく語る第2弾です。今回紹介する第2巻こそが本作品で最も面白い巻と言えるでしょう。なんと言っても、全登場人物の中で最もアツい男「鈴本永吉」がメインとなるからです。

鈴本永吉、、彼は年齢制限ギリギリの三段(当時の規定なので30歳)。
プロ棋士には定年はない、、しかし!プロ棋士になるまで、、四段に昇段するまで、、「定年」があるのである!!
「30歳と364日をもって四段に昇段できぬ者は、退会とす。」

というわけで鈴本にとってラストチャンスの三段リーグ。昇段候補は、鈴本に加えてもちろん主人公と、さらに郷田九段をモデルにした登場人物「幸田」の3人。

 

そして、月下の棋士で最もアツい対局「鈴本vs幸田」の闘いが始まります。鈴本優勢で終盤戦を迎えたかというところで、幸田の逆転の一手が炸裂。

しかし、その手を見た主人公・氷室が「その一手で鈴本君の勝ちだ」と言い放つ!3三銀か3一銀しか無いところで、しかし鈴本には正着がわからず、持ち時間は減っていくばかり。

と、その頃・・・妊娠中の鈴本の奥さんが怪我をして病院へ。そしてなんと、子供を降ろすしかないと言う医者。

 

「お願いです!もう少し、もう少しだけ待ってください!二度も流産して、今回が、きっと最後のチャンスだと思うんです!夫も、、今度こそ、、今度こそ、、生まれてくる子供のために、、ぼくは、将棋に勝つって・・・!!」

と、その頃、ここを電車の中で読んだぼくは涙、涙。今読み返したら、また涙してしまいました。

 

その他、「将棋に限って、負けて得るものはない」だとか「将棋に運などない」とかの、ためになる格言が連発です。

実際の三段リーグの最終局で、年齢制限で退会がすでに決定してる人が、その初手で30分無言で座り、そのまま投了したということがあったそうです。年齢制限の善悪はわかりませんが、ドラマが生まれますね。

レベルの高い将棋マンガがだいぶ増えてきましたが、まずはこの月下の棋士から読んで欲しいですね。まあなかなか読んでくれないんですけどねえ、、